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経済成長を所得増に結びつけるには「池田勇人色」改革が必要

「おじいさんの岸(信介)さんの役だけでなく、次は池田勇人さんになってください」──自民党の谷垣禎一・幹事長は安保法制を成立させた安倍晋三・首相にそう進言した。

 1960年、安倍首相の祖父でタカ派の岸信介首相が日米安保条約改定後に退陣すると、ハト派で「軽武装経済重視」路線の池田勇人首相が登場する。

「10年間で給料を2倍にする。できなければ政治家はやめる」

 そう国民に約束して高度成長期の波に乗り、公約を実現してみせた。有名な「所得倍増計画」である。池田首相が創設した自民党派閥・宏池会出身の谷垣氏は、首相に「タカ派の鎧を脱いで“経済の安倍”に変身してくれ」と求めたのだ。実は、安倍首相も2年前の参院選で1人あたり国民総所得アップや農家の所得倍増という“平成の所得倍増計画”を掲げた。

「10年間でみなさんの年収は150万円増えます」

 テレビ出演や街頭演説でそう語った首相の姿を覚えている国民は多いはずだ。では、安倍首相は「池田勇人」になれるのか。ゼロ成長の現在、「所得倍増」など荒唐無稽に思えるが、覚悟を持って取り組めば可能性はある。

 岸首相と池田首相は経済思想がまるで違った。東条内閣の商工大臣を務めて国家総動員体制を担った岸は統制経済論者だったが、池田は為替・貿易の自由化で企業の設備投資意欲を高めることで経済を成長させた。

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