五十肩や膝の治療では、まず血管造影を行ない、痛みの発生部位である新生血管を特定する。そこに血管にダメージを与えるステロイドなどの薬剤を直接注射する。膝痛治療として従来から行なわれている膝関節内へのヒアルロン酸注射に比べ、はるかに高い効果が得られる。
「重症の五十肩のカテーテル治療は、カテーテルという軟らかく細いチューブを血管内に挿入し、痛みに関係する新生血管に薬剤を注入します。3本程度の血管に薬剤を注入すると、すぐに痛みが減少する方もいらっしゃいます。大半は2~3週間で痛みが軽減し、新生血管も消滅していきます」(奥野センター長)
変形性膝関節症でも、軟骨のすり減りが軽度であれば、カテーテル治療で痛みが緩和される。しかし、軟骨がほぼ消滅し、骨同士がぶつかっている症例では痛みの緩和は難しく、他の膝治療を選択する。
この治療で効果が期待できるのは、五十肩などの肩の痛み、股関節痛、肘痛、膝痛、手・足の痛みなどの長引く関節痛だ。注射による治療は保険診療が適用されるが、肩のカテーテル治療は自由診療で、1回約12万円となっている。カテーテル治療は、1回で効果が得られることが多い。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2015年10月16・23日号