高須:当時のトルコの人々は、とにかく勇ましいものが好きだったんだろうね。あと、ロシアへの恨みも関係していると思うよ。
──ここでもロシアですか。
高須:トルコは、オスマン帝国の時代からロシアと戦争を繰り返してきたわけでしょ。それで、露土戦争(1877~1878年)に負けて、広大な領土を奪われた。その後に、日本が日露戦争を仕掛けていくんだけど、トルコの人々はまさか日本がロシアに太刀打ちできるとは思っていなかったんだろうね。でも、蓋を開けてみたら、東郷平八郎やら乃木希典の活躍もあって日本が勝った。日本の勝利を知ったトルコ人たちは、「よくぞロシアを倒してくれた!」って、狂喜乱舞で喜んでいたんだよ。
──日本が仇討ちをしてくれたっていうことですね。
高須:太平洋戦争の時も、日本がアメリカをやっつけてくれるんじゃないかって、トルコの人々は期待していたみたいだよ。まあ、結局負けてしまうんだけど、惨めに降伏するんじゃなくって、最後に神風特攻を仕掛けたっていうことが、トルコではすごく勇ましい姿として捉えられているようだね。
──今でもやはりそういう特攻隊の精神みたいなものがトルコで支持されているんですか?
高須:大好きみたいだね。親日国家であることは間違いない。でも、彼らが好きな日本はちょっとズレている。やっぱり、太平洋戦争の頃の日本が好きなんだよ。もちろん、今の日本がそういう国ではないということは知っているんだろうけど、“神風精神”みたいなものに対する憧れが強いんだろうね。
──まさに勇ましかった頃の日本ですね。
高須:トルコ革命の英雄、ムスタファ・ケマル・アタテュルクも日本に大きな影響を受けていたっていうしね。いやあ、もしかしたら、領空を侵犯したっていうロシア軍機が日章旗をつけていたら、撃墜もされなかったかもしれないな。
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かつて過激派によるテロに巻き込まれかけた思い出を告白するとともに、トルコでの親日ぶりを回顧した高須院長。ちなみに、高須院長いわく「イスタンブールほど、さり難かった街はない」とのこと。親日国家であるトルコに触れることで、日本人としてのアイデンティティーを思い起こされるのかもしれない。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。