国際情報

Gゼロ時代 アメリカが本気で北朝鮮問題を解決しない理由

 アメリカの政治リスク分析の専門家であるイアン・ブレマー氏が指摘する「Gゼロ」時代の世界分析が注目されている。Gゼロとは、東西冷戦時代のG2(アメリカとソ連)、冷戦終結後のG1(アメリカ一極支配)を経て、指導国が存在しなくなった国際社会をあらわす言葉。経営コンサルタントの大前研一氏が、なぜGゼロ時代を迎えたのか、アメリカはなぜ北朝鮮問題を解決しようとしないかについて解説する。

 * * *
 昨年は1961年から敵対してきたキューバと54年ぶりに国交を回復させた。しかし、アメリカは長年、最高指導者のフィデル・カストロ前国家評議会議長(首相)を「独裁者」「諸悪の根源」などと非難し、CIAが何度も暗殺を企てたのではなかったか。

 アメリカがフィデルと、その弟で後継者となったラウル・カストロ国家評議会議長を退陣・追放した上で国交を回復するなら話はわかる。だが、敵視政策をとってきたこれまでの経緯をすべて棚に上げて、バラク・オバマ大統領はラウルと握手した。

 ミャンマーもそうだ。アメリカはミャンマーを非民主的な軍事政権という理由で一方的に敵視して経済制裁を発動し、日本も足並みをそろえて交易を禁止した。ところが、現在のテイン・セイン政権が民主化に舵を切った途端に経済制裁を解除して“ミャンマー詣で”を始めた。

 その後、昨年11月の総選挙でアウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したわけだが、私は彼女がミャンマーを真っ当な国にできる可能性はゼロに近いと思う。それでもアメリカは、利権を求めてこの国に介入し続けるだろう。

 結局、キューバとの国交回復もミャンマーの経済制裁解除も、2017年1月に退任するオバマ大統領のレガシー(政治的な遺産)づくりのためにやったことである。実のところアメリカは自由も民主主義も宗教も関係なく、単に相手が好きか嫌いかで態度を変える“気まぐれ外交”を展開しているわけで、それに世界は翻弄されているのだ。

 イラクのサダム・フセイン政権を崩壊させたのも、アメリカの都合だった。さらにアメリカは「本当の敵はアフガニスタンだ」とビン・ラディンが潜んでいるとみられていたアフガニスタンでも開戦し、何の成果もないまま撤退に追い込まれている。しかも「お尋ね者」のビン・ラディンは、パキスタンの豪邸で新婚生活を楽しんでいた、という洒落にならないおまけ付きだった。

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン