昨オフの自主トレでは、背中に張りがあったため練習内容をセーブした。すると、キャンプに入っても一向に体調が上向かない。そのまま開幕を迎え、結局、打率2割5分6厘、10本塁打、14盗塁の成績でシーズンを終えた。かつてトリプルスリーを達成したこともある彼にとって納得のいく数字ではない。
松井には「今年は勝負の年」という覚悟がある。成果は早速2月のキャンプから表われ始めている。
「フィジカル面が順調に来ている分、打つことも守ることも思う存分できています。ベースがしっかりしているから、簡単にばてない。改めて走り込みやトレーニングの重要性を実感しています」
現在、ヒューストン・アストロズでセラピストを務める岡トレーナーは「今でも彼の肉体は並のメジャーリーガーには負けていない」と評価する。
◆まつい・かずお/1975年、大阪府生まれ。1994年、PL学園高からドラフト3位で西武に入団。2002年にスイッチヒッターとして史上初のトリプルスリーを達成するなど常に主軸として活躍。2004年からはニューヨーク・メッツに移籍、日本人初の内野手メジャーリーガーに。2007年、コロラド・ロッキーズ在籍時にはワールドシリーズに出場。2009年、ヒューストン・アストロズ時代には日米通算2000安打達成。2011年から東北楽天でプレーしている。
取材・文■田中周治 撮影■本誌・藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年3月18日号