「一口に旧財閥といっても、創業家との関係が薄れている三菱や三井と、住友本家の17代目当主・住友吉左衛門芳夫さんを中心に結束が維持されている住友は違う。住友グループの企業トップが集まる『白水会』は、〈住友の名を使わせていただき、住友家をお守りする〉という精神的な結束がある。
グループ外の企業に事実上吸収された住友軽金属工業や住友金属は、白水会の下部組織である商標委員会から『住友』の名を使い続けることが許されなかった。そして白水会からも外れた」(住友グループ広報委員会は経緯について「ノーコメント」と回答)
仮に、総合商社の再編が、「物産による住商の吸収」なら、住友の名を使えない可能性があるわけだ。その場合、新日鐵住金の例に倣って「三井物産住商」といった社名になるのだろうか。
逆に、別の財閥系企業と統合しても、吸収でなければ白水会に残り、住友の名も残せる。代表格が三井住友銀行だ。
ちなみに三井グループの経営トップにも「二木会」と称される集まりがあるが、同じ経営者が白水会と二木会の両方に出ることはない。
「三井住友銀行の場合、白水会には國部毅・銀行頭取が出席し、二木会には持ち株会社である三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一・社長が出席しています。國部頭取は旧住友銀行出身、宮田社長は旧三井銀行出身だからです」(同前)
物産と住商が合併した場合、誰が二木会に出て、誰が白水会に出るのか、という問題も出てきそうだ。
※週刊ポスト2016年4月29日号