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家庭的な女が突如豹変 ジジイを喰いものにする「婚活熟女」

 黒川博行氏の小説『後妻業』や関西連続青酸殺人事件で注目されたように、婚活マーケットには高齢者の遺産を狙う悪女も跋扈している。ノンフィクション作家の新郷由起氏がレポートする。

 * * *
「女は魔物だよ」と開口一番、Hさん(75)は大きなため息をついて首を左右に振った。

 5年前に愛妻と死別したHさんは、米国在住の一人息子とも相談の上、三周忌を機に婚活を開始。2回ほどパーティに参加した後、「効率が悪い」と、結婚相談所へ登録した。

 3度目に引き合わされた65歳女性は、「料理が得意」「尽くすタイプ」と豪語する自称“家庭的なオンナ”で、事実、手の込んだ手料理は「長く家庭料理に飢えていた胃袋に染み入った」と言う。

 初めての自宅訪問時には「壁フックに掛けてあったシャツの取れかけのボタンに気付いて笑顔で繕ってくれた」と感激し、「この女性しかいない!」との直感を信じて交際3か月目にプロポーズ。翌月には新婚旅行も兼ねて、息子の住むシアトルで身内だけの人前式も挙げた。

 が、半年も経たずに女性は豹変して本性を現す。

「家事は一切せずに家でぐうたらしてるか、女友達と遊び歩くだけ。手料理も3日に1度ほど何か大量に作ったのを冷凍して無くなるまで温めるか、デパ地下で惣菜をごっそり買ってくる。掃除も洗濯も全部僕の役割で、エッチも当初の10回くらい以降は『下手で痛くするからイヤ』と拒絶され続けた」

 小さいながらも賃貸マンション経営者のHさんの生活費にゆとりはあるものの、「家族カードで月に55万円も洋服等で使い込まれたら、そりゃ、キレますよ」と、1年を待たずに別離を宣告。

 すると、「贅沢出来ると思っていたのに、とんだケチジジイ!」「裏切られたのは私の方だ」と相手は一歩も譲らず、現在は離婚調停にもつれ込んでいる。

「この歳で家庭裁判所に厄介になるなんて、死んだ女房にも申し訳なくてね。バケの皮を見破れなかったことが悔やまれるよ」と、Hさんは「女は恐ろしい」をただひたすらに繰り返すのだった。

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