小島晴則も萩原遼もかつては日本共産党の有力支持者であったが今はそれをやめている。真実を追究し同時に反省すべきだと考えたからである。しかし、日本のマスコミに巣食うエセジャーナリストたちの多くは他者には執拗に「謝罪せよ、反省せよ」と繰り返すのに、自分たちのことになるとまったく反省しないし謝罪もしない。
テポドン問題において日本の真面目な政治家や官僚をバカ扱いにした記者たちもそうだ。たとえそれが故意ではなく偶然のミスだったとしても、自分の思い違いで他者を侮辱したことには違いないのだから反省謝罪すべきであろう。
また、この北朝鮮帰国事業についても命からがら北朝鮮を脱出してきた人々にまず謝罪すべきは、礼賛記事を書いた記者であり掲載したマスコミあるいは事業を応援した文化人であるべきなのだが、それを話題にすると責任が問われることを恐れているのだろうか、そういう話もまず耳にしない。
確かに、マスコミ報道を真実と信じ被害に遭った人の権利は、たとえそのマスコミの報道がきわめてデタラメであったと証明しても法律上救済することは極めて難しい。
しかし、それは報道の自由にかかわる問題であるから、被害者の権利が制限されているためなのであって、報道する側はこれにあぐらをかいてはならない。積極的に基金を設けるなりして援助すべきなのだが、そういう話も聞いたことがない。
それどころか日本のマスコミは北朝鮮帰国事業で北朝鮮に騙された後も、騙され続けた。私が何を言いたいかはもうおわかりだろう。
〈文中敬称略〉
※週刊ポスト2016年7月22・29日号