ライフ

時代劇研究家が選ぶ大河ドラマBEST10 6位~10位

【8位『徳川家康』(1983年)】
主演/滝田栄(徳川家康)、原作/山岡荘八、脚本/小山内美江子

 重厚な山岡荘八の原作に忠実な演出。家康の類稀なる政治力・経営手腕も見どころ。信長役の役所広司の人気が爆発、出世作となった。

「これまで『狸親父』的なイメージの強かった家康に長身の二枚目滝田栄を配して、その「人間」としての生き方を掘り下げた作品。

 だからといって綺麗事で終わらせることはなく、信長(役所広司)の命令で長男を切腹せざるをえなくする姿や、晩年になって豊臣家を策謀によって追い込んでいく姿など、『手を汚す』様も丁寧に描かれていた。

 そのことでかえって、『たとえどんな困難なことがあろうとも戦のない時代を作ってみせる』という家康の想いが浮き彫りになっていき、陰湿で野心的な策謀家のイメージを一新している」

【9位『北条時宗』(2001年)】
主演/和泉元彌(北条時宗)、原作/高橋克彦、脚本/井上由美子

 幕府の内乱や蒙古の襲来など鎌倉時代中期を描いた唯一の大河ドラマ。乗馬や弓のシーンのリアリティが光る。お笑い芸人の宮迫博之が北条義宗役で演技に開眼。

「和泉元彌扮する主人公と、彼と争うことになる兄を演じる渡部篤郎はあまり頼りない。ただ、その脇を固める陣営は素晴らしい。

 特に、二人の父親役を演じる渡辺謙が圧巻だった。最初は爽やかな男だったのが権力を握る中で貫禄を増していき、やがて毒を盛られて迎える晩年は、どこか常軌を逸した狂気すら漂わせるようになっていく。

 顔を金粉でメイクして敵対者の殺害命令を下していく様はあまりに不気味で、狭い街でひたすら権力闘争の陰謀だけが渦巻いていた当時の鎌倉の閉塞感を体現した」

【10位『秀吉』(1996年)】
主演/竹中直人(豊臣秀吉)、原作/堺屋太一、脚本/竹山洋

 竹中の泥臭くエネルギッシュな秀吉に圧倒される。渡哲也演じる懐深い信長も忘れがたい。秀吉の決め台詞「心配御無用!」が流行語に。

「農民から天下人まで一気に駆け上がる秀吉の姿を竹中直人が躍動感あふれる芝居で魅せたが、それ以上にインパクトを残したのが、信長を演じる渡哲也だった。

 竹中の秀吉は『動』なのに対し、渡の信長は徹底して『静』。余計なことは口にせず、表情は厳しく強張ったまま決して動かすことはなく、いつも鋭い眼光でジッと相手を見据えながら低く押し出すような話し方で相手を威圧していく。そこにいるだけで震え上がりそうになる渡の雰囲気が、信長に圧倒的なカリスマ性をもたらしていた」

※なお、春日氏が選んだ1位~5位は以下の通り。
1位『独眼竜政宗』(1987年)
2位『武田信玄』(1988年)
3位『草燃える』(1979年)
4位『翔ぶが如く』(1990年)
5位『黄金の日日』(1978年)

※週刊ポスト2016年9月2日号

関連記事

トピックス

米・ニューヨークで開催された全米野球記者協会(BBWAA)主催の晩餐会に大谷翔平選手と妻の真美子さんが出席(共同通信)
《大谷翔平と晩餐会に出席》真美子さんが選んだイヤリングは1万6500円! 庶民的プライスながらセンス溢れるさすがのセレクト
NEWSポストセブン
中道改革連合の松下玲子氏(時事通信フォト)
《「中道改革連合」が大混乱》菅直人元首相の後継・松下玲子氏「原発再稼働反対です」の炎上投稿の背景に燻る “立憲左派の党内造反”、外国人住民投票権提案で過去に炎上も
NEWSポストセブン
八角理事長(左)の胸中は…(右は白鵬氏/時事通信フォト)
八角理事長は白鵬氏の「日本相撲協会との連携」発言をどう受け止めたのか? 「アマチュアを指導していくのが私たちの役目」の真意は
週刊ポスト
昨年7月に遺体で発見された女優・遠野なぎこ(右・ブログより)
遠野なぎこさん(享年45)が孤独死した自宅マンションの一室に作業服の「特殊清掃」が…内装一新で「新たな入居者の募集へ」
NEWSポストセブン
11の宗教団体に緊急アンケートを実施(創価学会/時事通信フォト)
《11大宗教団体緊急アンケート》高市政権と「中道」の評価は? 長年のライバル関係ながら新党を支援する側に立つ創価学会と立正佼成会はどうするのか
週刊ポスト
書類送検されたことが報じられら米倉涼子
米倉涼子、近く表舞台に復帰へ…麻薬取締法違反の容疑で書類送検も「一区切りついたと認識」で進む映画の完成披露試写会の最終調整 メディアの質問はNGに
NEWSポストセブン
茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された
“ストーカー魔”大内拓実容疑者の事件当日の足どりを取材 ツーリング仲間の母親は「悪い子じゃない」「友達だったことは間違いないですが…」 《水戸市・ネイリスト女性刺殺》
NEWSポストセブン
年頭視閲式に出席された皇后雅子さま(2026年1月23日、撮影/JMPA)
《品位と品格を感じる》雅子さま、10年前にもお召しになったロングコートでご出席 皇宮警察へのお気持ちが感じられる天皇ご一家の青系リンクコーデ
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「自宅で運動する」オフシーズンとは
《真美子さんのヘルシーな筋肉美》大谷翔平夫妻がリフレッシュする「自宅で運動する」オフシーズン…27万円の“肩出しドレス”を晩餐会に選んだ「別人級の変貌」
NEWSポストセブン
「憲法改正」議論も今後進むか(高市早苗・首相/時事通信フォト)
《改憲勢力で3分の2超の予測も》総選挙後・政界大再編のカギとなる「憲法改正」 “安倍政権でさえ改憲原案提出なし”というハードルの高さ 高市首相に問われる決意と覚悟
週刊ポスト
イギリス出身のお騒がせインフルエンサー、ボニー・ブルー(TikTokより)
《歩いて帰れるかどうか不安》金髪美女インフルエンサー(26)が“12時間で1057人と関係を持つ”自己ベスト更新企画を延期した背景
NEWSポストセブン
Netflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』にて細木数子さん役を演じる戸田恵梨香(時事通信フォト)
《出産から約3年》女優・戸田恵梨香の本格復帰が夫婦にとって“絶妙なタイミング”だった理由…夫・松坂桃李は「大河クランクイン」を控えて
NEWSポストセブン