芸能

「不良の高齢者」を自任する火野正平という生き方

脚本を持ち歩き現場でセリフを入れる火野正平

 現在は、視聴者から寄せられた手紙とともに日本各地を自転車で旅するドキュメンタリー『にっぽん縦断 こころ旅』(NHK BSプレミアム)で、自然体の人柄が人気を集めている火野正平(67)。

 子役としてデビューした火野正平の名前を最初に世に知らしめたのは、24歳で演じたNHK大河ドラマ『国盗り物語』の羽柴秀吉役だ。続いて『新・必殺仕置人』のレギュラーを得て、役者としての地歩を固めていく。しかし、その頃から女性スキャンダルが報じられるようになる。艶聞が噴き出したのだ。

「そんな状況の中で俺は、なんで芸能評論家に『すみませんでした』って謝らなきゃならんのかと思ってた。私生活にぶつぶつぬかすな、と。ただ、記事が書かれたことで仕事が減ったりするのはしようがないとも思ってた。

 でもね、役者って、1年間仕事しなくても、次に何かいい仕事をすれば、ずっと役者でいられるわけよ。だから、仕事が半年なかろうが、1年なかろうが、そんなに簡単に俺を捨てられへんやろとどこかで思ってた。仕事が来たらおもろいお芝居見せてあげるのに、という自信もどこかにあった」

 事実、スキャンダルの嵐が収まると、火野のもとにぽつりぽつりと仕事が戻ってくる。そんな中、火野の芝居の軸となったのは、『長七郎江戸日記』をはじめとする時代劇だった。火野らしい軽妙で、憎めない役が多かった。

「悪い役も随分やったけど、どこか救われるようなところがあったり、犯人の悲しみみたいなものを出せたらいいな、と思って演じてきた。どんな悪党でもちょっと許せるところがある、湿っぽかったらちょっと笑わせる、そんな役回りをずっとやってきた」

 刑事ドラマやサスペンスに出演しながらも、火野はいまも時代劇を切望している。が、時代の変化も痛感する。

「この頃のプロデューサーはヒーローをつくらないんだよな。時代劇には、これまで必ず時代時代のヒーローがいたんだよ。古くは三匹の侍がいたり、木枯し紋次郎や中村主水が出てきたり。アウトロー的なヒーローだよね。そういう格好いいヒーローのドラマなら、いくらでも出演したいんだけど」

 火野は、「不良の高齢者」を自任している。

「撮影所に入っていくときに、おっかながられなきゃ嫌なんだよ。あいつ、怖いぞと思われてなきゃ。どんなにヘラヘラしていても、あいつ、ちょっといじったらうるさいぞと思われる存在。俺はいつまでたっても男の子なんだな。それはジジィになっても同じ。そういう不良でいたいと思う」

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン