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母の自死を恥じた父に「事故死にしとけ」と言われた娘の苦悩

 千葉県の坂上幸子さん(仮名、45才)は、壮絶な人生を歩んできた。中小企業を経営していた幸子さんの父は、2度結婚をしているという。最初の妻M子さんとの間に生まれたのが幸子さんと15才離れた姉だったが、M子さんとの離婚後、父は姉を虐待。2番目の妻である幸子さんの母が間に入ることで、姉は家を出てひとり暮らしを始めた。

 しかし、そこから幸子さんの母が精神的な病を発症。そして3年後、彼女は自死してしまう──。幸子さんが、その後の人生を語る。

※「自らの半生を見つめ直し、それを書き記すことによって俯瞰して、自らの不幸を乗り越える一助としたい」という一般のかたから寄せられた手記を、原文にできる限り忠実に再現いたしました。

 * * *
 母と父と私の3人の暮らしになり、父の暴力もおさまった。初めての穏やかな日に私は心を落ち着けたのだろうか。その記憶が私にはない。

 母は、統合失調症を発病していた。

 絵も習字も上手で、よく笑う母が、突然、別人になる恐怖。見たこともないような怖い顔をして、畳の一点を見つめていたかと思えば、処方された薬が強すぎたのだろう。ぼやーっとして声をかけても返事をしてくれない。

 小学校から中学生になった私は、そんな母を見るたび不安でたまらなくなった。

 その病を母は、自らの手で終わらせた。

 あの日からわが家は何もかも変わった。まず父が荒れた。1週間、食事が喉を通らず、「眠れないんだよ」と訴えた。一気に白髪が増えると同時に、姉を責めた。「あんたのことで心を痛めて病気になったんだ」と。

 母の遺体の第一発見者である私のことも責めた。「あんたが殺したのか。あんたはちっとも悲しそうに見えないんだよ」と。

 身内とはおかしなもので、ここまでひどいことを言われると、怒るより、父が哀れでかわいそうになる。

 しかし、そんな気持ちもご飯どきになると、一気に吹き飛ばされた。

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