国内

経済的に大変、自信がない…子供がいらない理由の本音

今や“結婚=子づくり”ではない時代に?(Ph:アフロ)

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、夫婦のみの世帯は、1986年から2015年までの30年で2倍以上に増加した。中央大学文学部教授で『家族難民』(朝日文庫)の著書で知られる山田昌弘さんは、その理由をこう分析する。

「昔に比べて後継ぎをつくることへの圧力が弱まったことが一因にあげられます。それに加え、日本の将来を悲観して子供を産みたくないと、控える人が増えていますね。また、経済的な理由や自由な時間を削られたくないという男性に、妻が従わざるを得ないケースもよく聞きます」

 女性セブンが行ったアンケート調査(※20代から80代の男女594名を対象に実施)でも、「子供が欲しい、欲しかったですか?」という質問に18.5%が“子供は欲しくない”と答えた。「親になる自信がない」(57.5%)、「子供が好きではない」(43.8%)、「経済的に不安」(37%)というのが主な理由だ。

 一方で、欲しくても授かれなかった夫婦もいる。諦めた時期は、「40才を過ぎて、年齢的に厳しいと感じた時(67%)」が多数だが、こういった意見もある。

「夫と趣味や旅行を満喫するうちに、この生活が私たちらしい生き方だと感じた。子供を授かると生活のリズムが崩れるし、いろいろと我慢しなければならないなら、今のままがいいと思った」(38才・専業主婦)

 時間とお金を夫婦や自分のために使いたいと、あえて“子づくり”を諦める人や、「子供をつくるために結婚したのではない」と夫に言われ、ホッとして不妊治療をやめたケースも。今や“結婚=子づくり”ではない時代なのだ。

 81.5%もの「子供が欲しい、欲しかった」と答えた人の中にも、いざ授かってみると、「経済的に大変」「自分の時間がなくなった」「仕事を辞めざるを得なかった」「ママ友との人間関係が苦痛」といった、子があるゆえの苦労ものぞかせた。

 これに対し、立命館大学産業社会学部教授で『結婚と家族のこれから』(光文社新書)著書の筒井淳也さんはこう話す。

「仕事と育児の両立支援制度がしっかりしているノルウェーでは、子供を持つ女性の幸福度が高かったのに対し、アメリカと日本は低いというデータもあります。『子供を産むと仕事との両立が大変=子供を産むと不幸になる』という概念が日本の女性には強いため、出産による生活満足度が下がるんです。仮に仕事を辞めたとしても、今度は家の中に閉じこもりがちになるので、外部とのコミュニケーションがとれなくなってストレスがたまる。そういうことが予想されるから子供を産みたがらないともいえます」

 女性は、子供という宝を手にする代わりに、家事・育児・仕事・夫の世話、そして介護の両立を迫られ、自分の時間が失われる。さらに家族が増えることで経済的にも逼迫するため、必ずしも幸せになれないのだ。

※女性セブン2016年10月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン