哀川:又兵衛が築こうとしていた郭(城を石垣、堀などで区画した区域)の場所を、幸村に譲ることで、出城「真田丸」ができました。その時点から絆が生まれたのではないかなと思います。幸村から話を聞いて、自分の戦略より優れていると考えたんでしょうね。ということは、そこで又兵衛は幸村を認めた、という関係ができていますよね。
――又兵衛はよく大坂城で「死ぬ場所を見つけてきたんだ」と言っていますね。
哀川:口ではそう言ってるけど、本心ではないと思いますよ。「死ぬ気でやらないと、この戦は勝てない」。そういう思いで立っていたんじゃないかな。死に場所を探しに来た男の動きじゃないですもんね。最後の最後まで勝とうという気持ちがあったと思います。
――大坂の陣は、血沸き肉躍る怒涛の展開です。
哀川:バラバラだった五人衆が大坂城に集結していくのは、面白いと思いますよ。もう大詰めですから、武将がバタバタと死んでいきます。勝ち目があったところを追い詰められて、さあどうするというやりとりは、見ていても手に汗を握るんじゃないでしょうか。
最後の戦場では2万何千人を相手に、10分の1の、2千何百人で5時間ももたせたるのはすごいですよね。その間に幸村がなんとかしてくれるという、信頼もあったと思います。だけど、助けは来ないと分かっていての戦だった。
又兵衛は自分の生き様を、生涯貫き通した男だと思います。そうじゃなかったら、1万6000石を捨てて、九州の城を出ていかないと思う。自分の価値を認めてくれるところで、全力を尽しました。
――今回、ロケが少なかったですね。
哀川:そうなんです。馬に乗りながら槍を振り回すとも言われていたので、馬の稽古をやったから、披露できなくて残念だけどね。それに又兵衛は槍の使い手ということで、槍もめちゃめちゃ練習したんです。本物の槍を持たせてもらいましたが、10尺あったんですよ。3メートル30センチで、とんでもなく重いんです。あんな槍を振り回すのって、相当な力持ちだよね(笑い)。撮影では3メートル弱くらいだったけど、それでも迫力がありますよ。
――主演の堺雅人さんはどんな人ですか?