国内

呉智英氏 共産主義を知るには反共主義者から学べ

評論家の呉智英氏

 ソビエト連邦が消滅してから25年が経つ。当然、徐々に社会主義や共産主義に対する関心が薄れていったのだが、最近は北朝鮮や中国に関するニュースが増えたことで、再び共産主義に興味を持つ若者が少なくないらしい。評論家の呉智英氏も、学生から共産主義のことがわかる本はないでしょうかと聞かれることが増えている。共産主義の魅力も弱点もわかる概説書を、呉氏が紹介する。

 * * *
 最近、学生から「先生、共産主義の概説書のいい本はありませんか」と聞かれることがよくある。社会運動だの支那や北朝鮮の動向だのが報じられる割に、その根底にあるらしい共産主義が、真偽も含めて分かりにくいのだろう。

 でも、概説書って……。日本共産党の出している共産主義入門のたぐいか。真逆!(「まさか」と正しく読んでね)。そんなもの読んだって無知の地獄へ真逆様だ(「まっさかさま」と正しく読んでね)。となると、そうだ、優れた反共主義者が書いた名著があった。

 一つは、小泉信三『共産主義批判の常識』(1949年刊、後に文庫、全集)である。

 私は1960年頃、中学生の時、父の本棚にこれを見つけて読んだ。そして、これを共産主義の入門書だと誤読した。『共産主義・批判の常識』だとしか思えなかったのだ。つまり、共産主義は社会批判の常識である、という本だと、愚かな中坊は思った。共産主義の弱点も指摘してあるけれど、なぜ共産主義が多くの人を魅了するのかについても詳論してある。後に再読してみると、序文にこうあった。

「これを読んでますます共産主義の確信を堅めたというものがあっても、それもやむを得ない」。

 この度量と教養。感嘆した。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン