国際情報

日ロ平和条約で日本が中ロ関係に楔を打てるとの考えは早計

プーチン氏の極東戦略とは Kremlin/Sputnik/Reuters/AFLO

 北方領土返還交渉が進んでいる。日本は対ロシアとの関係ばかりに注目しがちだが、ロシア側は、この交渉を通して極東地域における中国の影響力を牽制したい狙いもある。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、日本とロシアが平和条約を結んでも、ロシアと中国との関係が大きく変えられるわけではないと指摘する。

 * * *
 日ロ交渉の成果は蓋を開けてみなければわかりませんが、仮に日ロが平和条約を締結すれば、両国のみならず極東アジアに大きな変化をもたらします。

 日本にとっては北方領土の返還によってEEZ(排他的経済水域)が拡大することに加え、天然ガスの供給元が増え、さらに中国を牽制するうえで「日ロ関係」というカードを持つことになると、希望を語る人たちは少なくありません。

 一方、ロシアにとっても日本の経済協力はなくてはならないものであり、それは同時に中国を牽制するための有効なカードになり得るという主張も盛んです。

 そのような見方は、ロシアと中国はアメリカに対して共同歩調をとり、蜜月関係を築いているように見えますが、ロシアが中国に対し並々ならぬ警戒心を持っている事実からも生まれています。

 特に強い危機感を抱いているのが、極東地域における「人口力」の圧倒的な差でしょう。ロシアの国土面積は日本の約45倍ですが、3分の2がウラル山脈から東の「シベリア」であり、そのうち極東地域だけでロシア全体の36%を占めます。日本の国土の16倍強に及ぶこの広大な地域に住むロシア人はわずか600万人あまりで、しかも人口は減り続けています。

 かたや極東地域と国境を接する中国東北3省の人口は1億人を超え、ロシアに移住してビジネスを展開する中国人の数は増え続けています。たとえ領有権がロシアにあっても、このままでは極東地域にロシアのコントロールが及ばなくなり、専門家は人口力で中国に支配されると予測しています。

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン