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12歳の娘の安楽死を決断した父と母の証言

「どこでも、好きなところに腰掛けてください。今日はアントンの体調が悪くて、今、病院から戻ったばかりなの」

 ゴホゴホと咳をするアントンが我々の横で、駄々を捏ねている。

「これからアンドレアのお話をするのよ。お部屋で遊んで待っていてね」

「アンドレア……」と、母親の言葉を繰り返しながら、アントンは部屋に戻った。私はまず、アンドレアの生い立ちについて、尋ねてみる。

 報道上では、アンドレアの父親はアントニオではないそうですね?

「実の父親は、私が14歳の頃に知り合った恋人。よくある若気の至りです。19歳で妊娠し、中絶をせがまれたんです。私が産むと決めた時から、彼とは連絡が途切れてしまいました」

 2002年12月19日、エステラは、アンドレアを帝王切開で早産する。早産で鼻にチューブを入れられたアンドレアを見た母親は、心の中で誓った。

「チューブだらけで可愛い顔じゃないけど、あなたを死ぬまで愛するわ」

 アンドレアは、その後、8か月まで健康な子供と変わらない成長を遂げた。だが、その頃、歩行器に乗っていた彼女の足に力が入らず、首もなかなか据わらないことに気がついた。20か月経っても、両手もろくに使えない。脳検査をした結果、白い影が見つかった。

「治療法はなく、どんどん悪化して死に至る病気だと言われました。当初、寿命は3年、もって5年。私たちは、その恐怖を、毎日背負っていたの」

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