ライフ

電通、自衛隊、貧困、介護 日本は不都合な真実だらけに

隠された真実が明らかになった(写真:アフロ)

 2016年の日本はさまざまな矛盾が露出した1年だった。そのキーワードはなにか。コラムニスト・オバタカズユキ氏が考察する。

 * * *
 2016年はどんな年だったのだろう。個人的には「死」を意識する出来事が重なる年だったが、「今年の漢字」は「金」、「新語・流行語大賞」は「神ってる」が選ばれた。

 なぜ「金」なのか。「今年の漢字」は公募でもっとも票が集まったものをそれとするシステムだが、「金」を選んだ応募者の理由には、リオ五輪の日本人の「金」メダル獲得ラッシュ、前都知事の政治資金問題、東京五輪の巨額経費問題などが多く、ピコ太郎の「金」色の衣装からこの漢字を推した人もいるという。

 一方の「神ってる」は、広島東洋カープの緒方孝市監督が鈴木誠也選手の好調ぶりに対してそう口にしたところから、若者を中心に流行語になった、と新聞か何かで読んだ。この大賞については「え?」と思った。プロ野球に興味がなく、若者でもない私は、その言葉の存在自体を知らなかったのだ。

 新語・流行語大賞の公式HPには、

<「神懸かってる」と言うところを緒方孝市監督は、いまどきの言葉を使って「神ってる」と口にした。これはもともとネットの住人たちが汎用していたワードで、中高校生にとっては当たり前の表現だが、プロ野球というオヤジの世界で使われたことで異彩を放った>

 という解説がある。つまり、「神ってる」は監督発というよりも若者発の流行語だというわけだ。若者の間でどう使われているのかいろいろ検索してみると、使う子は使っているという感じらしい。

 だが、長めの言葉を短くする言葉遊びは、私が子供の頃から腐るほどやってきたパターンだ。縮めた言葉を口にするだけで、俺ってわかっている人の一人だよね、みたいな安心感を得られる。それこそ子供っぽい同調性の表れにすぎない。だから、それをプロ野球チームの監督という大人が使ったことで異彩を放った、と捉えるのはおかしい。逆に社会的に立場のある中年が若者に媚を売って恥ずかしい、というならよくわかるのだが……。

 まあ、どうでもいい、とスルーする方が賢明なのだろうが、「神ってる」について私はそう感じたし、「金」のほうも同じだった。選んだ理由がいろいろ挙げられていたけれども、どれもニュースでいっぱい流れた出来事ばかり。目の前にばーっと流れてきたものを反射的にパクッと食いついて、「金」だと思いました以上でも以下でもない選び方だ。

 これも今に始まった話ではないけれど、どうせやるなら、もうちょい腑に落ちたり、なるほどと納得させられたりする「今年の言葉」を選べないものか。英国のオックスフォード出版局が主催している同様の催しでは、2016年の「Word of the Year」が「post-truth」になったそうだ。ドイツ語協会が発表した2016年のドイツの流行語大賞も「postfaktisch」。「post-truth」と同じ意味で、日本語に訳すと「ポスト真実」くらいの感じになる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」の会長である永谷晶久さん
《都道府県魅力度ランキングで最下位の悲報!》「埼玉には『うどん』がある」「埼玉のうどんの最大の魅力は、多様性」と“埼玉を日本一の「うどん県」にする会”の会長が断言
NEWSポストセブン
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン