芸能

エンケン、友和、リリー ドラマ「おっさん黄金期」到来か

番組公式HPより

 今期はどんな名作が生まれるのだろうか。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所の山下柚実氏が、俯瞰した。

 * * *
 1月、新ドラマが続々と幕開けを迎えています。助走のつかみは、「子供とおっさんに勝機あり」。

●芸達者の子役たち、その使い方には注文あり

 NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(日曜午後8時)がスタート。戦国時代、家督を継いだ「おんな城主」、尼である井伊直虎が主人公(柴咲コウ)。ドラマが始まる直前、ハプニングが! 「実は直虎は男性だった」という衝撃的な新資料が発見されて大騒ぎ。

 でも、「大河はフィクションです」とNHKの制作陣のスタンスは明快。となればむしろ、新資料発見なんて願ってもない宣伝効果、ととらえるべきでしょう。

 さて、今回はドラマの初回~4回目までの進行を子役たちが担う異色のパターン。その子役たちがカワイイ、上手と話題が集中しています。直虎・おとわ役を演じているのは10歳の新井美羽。直親・亀之丞役は13歳の藤本哉汰、そして政次・鶴丸役は11歳の小林颯。

 3人ともこの世に生まれ落ちてたった10数年しか経っていないのに、実に「演じるセンス」に満ちている。微妙な表情も作れるし、暗さや複雑さも横顔から滲み出る。そこらへんの下手な役者よりも格段、演技的才覚が備わっていそう。こうした芸達者な子役たちだからこそ、演出に一言注文したい。

 大きく目を見開いたり、黄色い声を上げてはしゃがせたり。「いかにも子供子供した演技」は、むしろうるさい。過剰な演出は邪魔。脚本を彼らに解釈させて、もっと自然にもっと自由に演じさせてもいいのでは? その方が、直虎幼少の時代が深まりを見せるのではないでしょうか?

 そして、やはり期待が大きく膨らむのが、満を持して登場する主人公・直虎役の柴咲コウ。切れ味よく芯の強さのある女優。目力に期待します。「おんな城主」の勇姿が似合いそう。今回、役作りのために観音経と般若心経を暗記する必要があったのだとか。

「BGMのように耳から入り、自然に体の中に馴染んでいきました」と柴咲さん。すでにお経は癒やしのアイテムになっているもよう。こうした高いハードルも、楽しみながらしっかりと自分の血肉にしていくタフさ。直虎という役柄を、心底楽しんで演じてくれそうな気配です。

●おっさんたちのオンパレード

 今クールのドラマは、以前にも増して「おっさん役者」の存在感が光りそう。明日13日から始まる『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京金曜夜0時12分)には、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の名がズラリ。ここまでくると壮観。とことんおっさんワールドを展開する狙い、どんな新世界を見せてくれるのか。

 一方ではデビュー45年、連続ドラマ主演17年ぶりという三浦友和。本日12日スタートの家族ドラマ『就活家族~きっと、うまくいく~』(テレビ朝日木曜午後9時)。演じる役は会社の部長であり父。しかし、三浦さんはただのおっさんではない。昨年の映画『葛城事件』で見せた鬼気迫る狂気、ヤクザ役で見せた渋さと怖さ。

 奥深くて多彩、一筋縄ではいかないおっさんゆえ、凡庸な日常に亀裂を走らせてくれそう。期待が膨らみます。

 また、すでにスタートした『銀と金』(テレビ東京日曜1時20分)では、悪役どっぷりの銀髪リリー・フランキー。どこまで凄味と暴力性を見せてくれるか。

 と、大活躍しそうな中高年いぶし銀の役者たち。これまで重ねてきた人生の悲哀・酸い甘いの経験を、ドラマの中へ結晶させていく。いわば、おっさん黄金収穫期の到来、かもしれません。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン