世界の大学受験事情を見渡しても、例えばアメリカは秋から春にかけて行きたい大学にエントリーし、複数回の試験を受けるシステム。お隣の韓国は11月、フランスは6月と、真冬に震えながらその後の人生を左右するといわれる試験を受けるのはわが国くらいなのだ。しかし、かといって試験日程を前倒しすれば解決するほど簡単な問題ではない。
「そのあたりは、今センター試験の審議をしている『高大接続改革』の委員のかたたちにじっくり考えていただきたいです」(滝川市大手予備校講師)
「高大接続改革」とは、現状ではバラバラになってしまっている高校教育と大学入試、そして大学での教育を1つにつなげるために国が推し進めている改革のこと。その中で大きな注目を集めたのが、2020年のセンター試験の廃止と、翌年からの「大学入学希望者テスト」「基礎学力テスト」の導入だ。
筑波大学教授で、『高大接続改革』の委員を務める金子元久さんが説明する。
「『高大接続』の目的は高校と大学をつなげるだけでなく、知識以外にも思考力など幅広い学力をつけてもらうというところにあります。センター試験の代わりとなる『大学入学希望者テスト』は今よりも思考力や表現力、判断力を中心に評価するために、記述式の問題の導入などを検討しています。また『基礎学力テスト』は高校在学中に何度でも受けられる比較的難易度の低い問題が中心になるテストで、大学受験時に成績として提出できるほか、高卒で就職するときの資格のように利用できるようにも検討しています」
センター試験の代わりとなる『大学入学希望者テスト』の実施時期については、審議されているのだろうか? 金子さんが続ける。
「受験時期を早めると高校から猛反対を受け、遅くしてしまえば大学の入学時期も変えることになり、大改革が必要になってしまう。だからなかなか審議されていないのが現状です。私の意見としては、小学校や短大などでもセンター試験を受けられるようにするなどして、会場を増やすことが必要だと思っていますが、それも試験監督をどう増やすか、その分のコストはどうするかということを考えると、それも難しい問題です」(金子さん)
最低気温マイナス20℃を下回る極寒の地からの叫びは、現在のところ、ちっとも届いていないようだ。準備まで3年もの間があればなんとかなりそうなものを。そうして“ゆとり”を作ったんじゃなかったのか…。
※女性セブン2017年2月23日号