そんなことより在任中に強烈な印象を残したことがある。それは、2004年7月10日に放送された『石原慎太郎 細木数子、THEスペシャル!細木数子&みのもんた絶対!!幸せになろうよ』(日本テレビ)よ。視聴率が21.7%だったから、覚えている人も多いんじゃないかな。
まず石原氏は登場するなり、「こんなおっかないオバさん、嫌だよ」と、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの細木数子さんに毒づいたんだよ。それなら、なぜ出てきた?
前の年、自身最高の得票率で東京都知事に再選した人の不機嫌に、細木さんもなんとなく緊張して見えたっけ。
ところが、当時石原氏が旗を振っていた銀行事業が「大成功します」と断言されてから、明らかに頬がゆるんでね。
挙げ句、都知事を辞めたら、日本国家のあり方や進む道について執筆することを勧められ、「その思想で日本を救う人物が、4人の息子の孫の中から出てきます」と言われたとたんよ。“破顔一笑”ってこういう顔かと思ったね。まさに正体見たり。
正直、私が石原氏に期待したのは、東京の顔。外国に行って負けないだけの“はったり”。だから飛行機のファーストクラスに石原氏が座っても、「ま、スターだからね」で済んだのよ。随行員が多いのも、ギリギリセーフ。
でも“画家”の四男に、もっともらしい肩書をあてがった上で、都の予算をつけて海外出張させたらアウトだと思うよ。その絵を「いい絵」なんて、親バカじゃ済まないって。スター政治家のいた時代の終わりは、とっくの昔に始まっていたんだね。
※女性セブン2017年3月23日号