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絶滅の危機から一転、日本生まれの猫が世界一になるまで

ラパーマは生まれつきくるくるとカールした豊かな被毛が特徴


 キャッテリーとして、ラパーマを育てる。そんな決心をした増田さんの背中を、今は亡き父の一言が後押しした。「やるなら、世界を目指せ」──。

 CFAのキャットショーには「スタンダード」が定められている。それは「美学にのっとった理想像」であり「芸術作品」だと説明されていて、その究極は「美=健康」にある。ジャッジはスタンダードにのっとり、骨格、コートの美しさ、形、顔の輪郭、性格などを審査する。

「娘の希望でショーに初めて参加したのですが、そこは真剣勝負の場。世界一を取るためには、世界一の努力をしなければならない。そう痛感しました」(増田さん)

◆歴史が変わった瞬間。「こんなに素晴らしいラパーマを初めて見ました」

 決意した増田さんはニュージーランドに飛んだ。ラパーマは絶対数が少ないため、雑種(MIX)との交配が認められていたが、そもそも日本には一対のラパーマの子孫しかおらず、個性が広がらない。美しい猫を育てるため、海外のラパーマとの交配が必要だと考えた。

「とはいえ、簡単に譲ってくれるものではありません。メールでの交渉なんて一切受け合ってもらえない。現地のキャットショーにアポなしで向かいました」(同前)

 キャッテリーを見定めた増田さんは、直接交渉を試みた。はるか遠方からラパーマを求めてやって来た日本人の熱意に、キャッテリーも折れた。こうしてやって来たのが雄猫のキャスパーだ。

 増田さんの想いはもう一つあった。「日本の猫の血統を継いだラパーマで世界一を取りたい」──。

 目を留めたのは友人の猫「ばなな」だった。ばななはもともと野良猫だったが、長毛の三毛猫という珍しい種。しかも骨格や顔つきもラパーマのスタンダードに即している。

 こうしてばななとキャスパーの間に子猫が生まれた。その中の一頭、ダリとペアになったのが「はのん」。はのんは日本第一号ラパーマ、メイの子孫である。

 アメリカ、日本、ニュージーランド。三国の血を受け継ぐ猫が誕生した。その中の一頭、「ねね」が、歴史を変えた。

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