日本尊厳死協会副理事長・長尾和宏医師


筒井:在宅医療というのは大変でしょうね。

長尾:『銀齢の果て』は、国の将来を案じて書かれたんですか。

筒井:いやいや、そんなことはないです。あの頃、藤原竜也主演の『バトル・ロワイアル』という映画が話題になっていたでしょう。そこから思いついただけ。

長尾:本を読んで、とてもリアルな物語だと感じました。実際に、親の介護のために会社を辞めたり、人生を諦めたりしている人がたくさんいて、それが美徳とされている。「ほんまにこれでええんかいな」と思うときがあるんですね。

筒井:だから、老人に殺し合いをさせる話のほうがリアリティがあるし、薄汚いし、醜いしで、面白くなるの(笑い)。

長尾:作中では老人ホームの入居者もバトルに参加させられる。個室の鍵が開けられて殺し合うんですよね。

筒井:私は老人ホームに入れられたら、1日でボケますね。つまらないお遊戯はさせられるわ、ゲームはさせられるわ、すぐにボケますよ(笑い)。そんな死に方はまっぴらです。

長尾:いまも、酒もタバコもたしなまれているそうですが、これまでに大病をされたことは?

筒井:何十年か前に胃潰瘍をやりました。あのときはしんどかった。『文学部唯野教授』と『パプリカ』を同時並行で連載してたんですよ。締め切りが一つ終わったら、もう次の締め切りと交互に来るから、胃に穴が開いちゃって。2つ連載していたから、穴がちゃんと2つ開いてた(笑い)。

長尾:それ以降は大病をされていないんですね。自分の人生の終わりを想像することはありますか?

筒井:それは、もちろんありますよ。作家だからいろんなことを考えなきゃいけない。『銀齢の果て』だって、登場する老人はみんな自分のことと思って書いてます。

長尾:当事者として書いた。

筒井:はい。映画化されて、「この役をやれ」といわれれば、女性を除いて、全員、どの役でもできますね。

※週刊ポスト2017年3月24・31日号

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン