日本には開発途上国の外国人が農業や建設業などで働きながら技術を学ぶ「技能実習」制度があるが、これを利用して来日した外国人の失踪者は2015年に5800人を超え、過去最多を記録した。国別では中国が3116人で最も多く、2011年からの5年間で失踪した中国人実習生は累計で1万580人に達した。
失踪者の多くが不法滞在となり、犯罪予備軍になるとの指摘もある。外国人労働者の受け入れが増加すれば、こうしたリスクが増す。
治安面だけでない。安価な労働力の増加は自国民の労働賃金を押し下げ、暮らしの悪化や景気低迷を招く。ゆえに現在、移民の多い米国や欧州で「反移民」「反外国人労働者」が声高に叫ばれているのだ。
一方で、政府は高度外国人人材が永住許可を得るため必要な在留期間を現行の5年から大幅に短縮する「日本版高度外国人材グリーンカード」構想を掲げる。だが永住権を取得して日本に住み続ける外国人が増えれば、彼らの社会的影響力が増し、やがて参政権の付与を求める声が出てくるのは間違いない。これは極めて危険な兆候だ。