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「記憶力世界一」の84歳に聞いた老けない脳の作り方

記憶力だけでなく姿勢もよい友寄氏

 記憶力は年齢と共に低下する──その常識を覆す人がいる。老いてますます盛んな脳は、どんなトレーニングで作り上げられたのか。

「いいですか。諦めちゃいけません。歳を取っても記憶力は成長するんです」

 傘寿をとうに過ぎているとは思えないほどハッキリしたよどみのない口調。友寄英哲氏(84)は、80歳の時に“目隠し”でルービックキューブの全ての面を揃えるタイムを競う大会で、当時の世界最高齢記録(26分29秒)を達成。さらに83歳で参加した昨年、14分13秒と大幅に記録を更新した。

 この競技では面の色を見ながら作業ができないため、キューブの解法手順を完璧に記憶しなければならない。友寄氏は記憶力の“世界最高齢記録保持者”といえる。しかし幼少の頃から記憶が抜群だったわけではない。

「もともと暗記は苦手だったのですが、22歳の時に大道芸人が黒板に書いた20桁ほどの数字を暗唱しているのを見て感動してね。“やってみたい”と思ったのが、私の“記憶術鍛錬”の始まりです」(友寄氏・以下同)

 大学卒業後にソニーに入社した友寄氏は、通勤時間などを使って「円周率」の暗記に没頭した。

「5141」を「5(コ)1(イ)4(シ)1(イ)」など語呂合わせで覚えていたという。46歳の時には1万5000桁の円周率の暗唱に挑戦し、達成した。だが、ここで友寄氏に変化が起きる。

「続いて当時のギネス記録を塗り替える4万桁に挑んだところ、3~4年経っても覚えられない。記憶力の低下を疑いました」

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