一方、2006年から2011年まで府中刑務所に収監されていた六代目山口組の司忍組長は、実話系雑誌やファッション誌『LEON』などに目を通す一方、料理や旅行に関する本も多く愛読していたという。

 読書は彼らの思考を知る大きな手立てとなるはずだ。私(ノンフィクションライター・高橋ユキ)は囚人たちにアプローチし、彼らの愛読書を聞いて回ることにした。

 現在、名古屋拘置所に勾留されている林圭二被告(44)。2011年、愛知県一宮市の飲食店店員を殺害しその遺体を冷凍庫に入れ福井県の九頭竜湖に遺棄したほか、元交際相手を窒息死させたとして、殺人や傷害致死などの罪に問われている。昨年11月に名古屋地裁で無期懲役が言い渡され、現在、控訴中である。

 彼が挙げたのは、『31年ぶりにムショを出た 私と過ごした1000人の殺人者たち』(金原龍一著、宝島社)だった。大阪刑務所9年、千葉刑務所22年を経て出所した元無期懲役囚の本である。

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