◆「国籍は知らなかった」
ポスターを制作したとされる神社本庁はこう答えた。
「私たちは祝日の意義と休日の国旗掲揚を啓発するために、何年かに一度ポスターを作っています。当該ポスターも神社本庁が作成して各神社に6万枚配布したものです。
東日本大震災が発生し、日本人の秩序正しい行動が世界中で称賛されました。そうした日本人の礼儀正しさを応援するために、『私 日本人でよかった。』というコピーになりました」(神社本庁教化広報センター)
それにしても、なぜコピーにある「日本人」ではなく、「中国人」がモデルだったのか。神社本庁は「国籍は知らなかった」と話す。
「デザインや画像使用はすべてデザイン会社に一任しており、神社本庁はモデルの国籍について承知していません。たとえ中国人だったとしても、トータルのデザインとしてのイメージなので、特段の問題はないと考えます」(同前)
だが『日本会議の正体』の著者でジャーナリストの青木理氏は、ポスターに見られる神社本庁の姿勢を批判する。
「あからさまな日本礼賛のようなキャンペーンは、安倍政権が進める歴史修正、復古主義的な空気の中、政権のコアな支持層である日本会議のキャンペーンなどと歩調を合わせているのでしょう」
青木氏は、「私 日本人でよかった。」というコピーについてもこう語る。
「日本には様々な国籍の人が暮らしています。このコピーはそうした人びとへの排除意識を感じさせ、差別とも受け止められかねない。しかもモデルが中国人だったなんて、まったくレベルの低いブラックジョークのようなものです」