キャパシティーは、骨壷での収納スペースが約1000人分だが、契約者数は当初3年で、その約半数に。今は、800人に達している。地下の合葬スペースもずいぶん広く、すでに大勢の遺骨が入っているが、今後100年くらいは大丈夫という。
取材中、「去年、大往生した鹿児島の母を分骨した」という男性(70代)の一家と妹さんが、お参りにきた。
「鹿児島のお墓は弟が守ってくれているが、私はせいぜい年に1度くらいしか行けないから、東京でも手を合わせるところが欲しかったので」。月命日に、欠かさずお参りに来ているとのことだった。
龍善寺の室内納骨堂の利用者は無料で使用できるため、改葬に際し、「古い遺骨」をここに移す向きも多い。その人たちは室内墓にお参りにくるたび、ここにも来る。そのため、参拝口が5か所もある。花も線香の香りも絶えないのだ。
参拝スペースの背後の壁に設置されたプレートに、先代、先々代の住職名に続き、ここに眠る人たちの名前が、法名または俗名で50音順にずらりと記されているが、私の目には、故人一人ひとりがどこか誇らしげに「私はここにいますよ」と語っているかのように映る。
「近頃、結婚した娘さんたちが、『実家の両親と一緒にここに入る』と生前契約をされるケースが増えました」(平松住職)
永代供養墓からイメージしがちな「居場所のなくなった、かわいそうな遺骨」のための場所とは、ずいぶん違いますね──。そう言うと、大きく頷いた平松住職から、こんな言葉が返ってきた。
「生前は当寺にご縁のなかったかたがたも、この永代供養墓でみんな一緒になる。先代住職、先々代住職とも、みな同じ仏様です。上下関係などないお墓なんですよ」
※女性セブン2017年6月1日号