「館内での拍手の量を聞くと“ファンは分かっているんだな”と思いますよ。幕内の取組が中盤以降になると隠岐の海や遠藤、千代翔馬(前頭2)、大栄翔(前頭3)といったガチンコ実力派の登場で声援が大きくなる。前日に負けていても、いい相撲を取った力士が熱心に応援されている」(同前)
その象徴が嘉風だ。初日に稀勢の里を破っただけではない。2日目の白鵬戦も敗れはしたものの、縦横に動き回って激しい突っ張り合いを展開。3日目にはカド番大関の豪栄道を破り、4日目は横綱・鶴竜に土をつけて休場に追い込んだ。
大声援を浴び、舞台裏でも意気軒昂だ。初日に稀勢の里を破った嘉風は支度部屋に戻ると、54本の懸賞金袋を手に、「お金のためにやってるわけじゃないんですけどね」とおどけて見せた。
「3日目、稀勢の里が驚異の粘りで千代の国に逆転勝利するのを支度部屋のテレビで見ながら、嘉風は、“オレが今日当たっていたら(横綱に)残されていたよな。危ない、危ない”と饒舌でした。テンションが上がってしまい、翌日の土俵に上がるのが待ちきれない印象でした」(ベテラン記者)
初日に鶴竜を下した御嶽海も「横綱戦を前に“母親が観に来ているので負けられない”と息巻いていた。横綱相手の取組前にそんなふうにいえるのは相当な強気」(同前)である。
永谷園のお茶漬け海苔のCMに出演し、同社の懸賞が毎日かかる遠藤も抜群の存在感だ。