●懸賞金という「重圧」
終盤、強行出場を続けていれば「稀勢の里包囲網」はもっと厳しいものになっていたとみられる。
今場所前、15日間の取組に掛けられる予定だった懸賞は史上最高の2219本を数え、稀勢の里の一番を個人指定したものは608本(3月場所の約2倍)もあった。そのため、稀勢の里は4敗を喫しながら10日目までで303本の懸賞を獲得。全勝だった白鵬が166本、日馬富士が118本だから“一極集中”ぶりがよくわかる。
「個人指定の懸賞以外に、協会の判断で注目の一番に振り分ける懸賞もあるが、途中休場するまではそれらも稀勢の里に集中した。白鵬たちモンゴル横綱のプライドは傷つきますよ。不祥事続きで人気が低迷した時期を支えた自負もある。日本人横綱が誕生した途端に手のひらを返した協会の仕打ちは“打倒・稀勢の里”の炎を燃え上がらせた」(担当記者)
※週刊ポスト2017年6月9日号