その一方、NHKで放送されている『五木先生の歌う!SHOW学校』では後輩歌手に歌を教え、名曲を継承することも大切にしている。
「僕が歌や舞台など新しいことに挑戦するのは、人々に愛されてきた歌や舞台を僕自身が継承するためです。先輩たちが残してくれた素晴らしい歌を後世に伝えるため、僕自身が手本となって頑張ろうと覚悟しています」
今後の目標を尋ねると「70代の10年間、健康で挑戦し続けることが最大の目標」だと口にした。
「昔から病院が苦手で、結婚するまでほとんど病院には行きませんでした。でも、ありがたいことに今は女房が隣でずっと僕の体の心配をしてくれています。頭が上がりません(笑い)。来年70歳になりますが、『こんな元気で声が出るなんて!』と驚いてくださったら最高に幸せです」
パワフルな歌声はいささかも衰えを知らない。これからも五木のチャレンジは続く。
●いつき・ひろし/1948年、福井県出身。1964年に歌手デビュー。1971年に『よこはま・たそがれ』が大ヒットし、一躍ミリオンセラー歌手となる。以来、『夜空』(1973年)、『契り』(1982年)、『長良川艶歌』(1984年)など多くの歌を発表し、NHK紅白歌合戦には1971年以来、46回連続して出場。2002年、レコード会社「ファイブズエンタテインメント」を設立。2007年11月に紫綬褒章を受章。2017年4月、ニューシングル『わすれ宿/男の友情』、5月に『船村徹 トリビュートアルバム 永遠の船村メロディー』を発売。
撮影■江森康之、取材・文■戸田梨恵
※週刊ポスト2017年6月23日号