歌丸は芸能界のみならず一般家庭にも「節度の欠如」が及んでいると感じているのだ。その根底には落語への深い愛情がある。
「落語には色んな芸がある。与太郎噺もあれば、人情噺も怪談噺もあります。一生懸命覚えていけば、生涯、噺家として生きていける。古典はいくらでもあるし、自分で新作を生み出すこともできます。
20年ほど前、海外で落語を披露するのが流行ったことがあって、私も何度か行きました。英語で落語をする方もいましたが、私は舞台の後ろに英訳の字幕を出してもらって、全部日本語でやりました。
リズムや間合い、言い回し……日本語で話をするからこそ、きちんと日本の文化が伝わるんです。この国の文化を守ろうと思ったら、日本語をきっちりと伝えていかなきゃならないと思います」
◆死ぬまで落語をやる
今年2月の本誌インタビューでは、「引退」も考えていると明かした歌丸だったが、今回は力強くこう宣言した。