産経新聞外信部次長の矢板明夫氏


 一人目は小泉純一郎だ。一匹狼で派閥政治と無縁のため対中利権の網にかからなかった小泉は、2001年4月の首相就任前から靖国神社参拝を明言した。中国は阻止に躍起となり、加藤紘一や山崎拓ら小泉と親しい議員を動員して説得した。結局、小泉は「8月15日だけは避けてくれ」との中国の意向を汲んで01年8月13日に前倒しで参拝した。

 ところがその後、中国は反小泉キャンペーンを展開した。最大限の配慮を仇で返された小泉は激怒し、中国があの手この手で阻止を画策する中、翌年以降も靖国を参拝した。

 首相退任後、小泉は靖国を参拝していない。在任時は意地を張っただけかもしれないが、小泉が中国の圧力に屈しなかった戦後初の首相であることは確かだ。やや意外かもしれないが、「老朋友」に選ばれなかった2人目の首相は民主党政権時代の野田佳彦だ。
日本新党などを経て民主党に入った野田は野党時代が長く、中国側も全くのノーマークだったが、菅直人の辞任で突然首相に就任した。

 中国が激怒したのは2012年9月の尖閣諸島国有化だ。この時、中国は強硬に反対したが野田を止められなかった。鳩山、菅に続き「御しやすい」と踏んでいた民主党政権に尖閣国有化の“暴挙”を許したのは中国にとって痛恨の極みであり、今も野田は極悪人と称される。

 中国が忌み嫌う3人目の首相は現在の安倍晋三である。特筆すべきは安倍が中国お得意のオールイン外交に屈しなかったことだ。

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