女性脳が発揮する特徴的な能力のひとつに「直感力」がある。女性脳は右脳(感じる領域)と左脳(言葉を紡ぐ領域)の連携の密度と頻度が、男性に比べ圧倒的に高い。このため女性脳は、意識に触れるか触れないかの膨大な情報量を感じ、五感から得た情報を一気に結びつけて、論理的に説明できない複雑系の演算をやってのけるという。
「直感と論理の回路は別回路なので、結論は違ってきます。論理で考えたってうまくいかないことはあるのだから、まずは直感も大事に、ということは男女ともに伝えたいです。女性の直感と男性の直感は答えが違うので、代替案をたくさん手にすることができ、しかも、直感にすぐれた女性脳のおかげで、アイデアが倍になると考えたらいいと思います。
それを採択するときに重要なのは、自分が理解できないからダメと思わないことです。市場は女性が財布を握っているわけですから。3人の女性が心から思ったことは、300万人の女性の心にも響くのです。この女性脳という見えないブラックボックスを有効に利用して、ビジネスソースにすることをおすすめします」
◇商品開発は「性別的戦略」を
男性はすっきりとシンプルを好むのに対し、複雑系回路が活性化している女性脳は、複雑な事柄を好ましく思う傾向があり、ヒョウ柄や花柄、フリルやギャザーを好み、花束や菓子の詰め合わせなど“みっちりつまった”ものに興奮するのも脳の特性だという。
「特に、中高年女性の複雑系認知傾向はより高くなるので、たとえば50~60代の女性にポットを買ってほしいなら、シンプルなデザインではなくヒョウ柄にバラ模様を。かつての森英恵さんの蝶柄ポットは、中高年女性の心に刺さって完売でした」
WEBサイトや雑誌も、複雑系認知傾向の高い女性脳には複雑な情報のほうが見やすいというのは意外なところ。商品開発に携わるなら、ターゲット市場の大多数を占める性の脳に気持ちのいいデザインを打ち出すことが、肝ということだ。