「不倫が一般化した影響か、裁判官側の不倫に対する認識が従来と大きく変わってきています。不倫された側の『心の傷』は昔に比べて浅くなっていると見なされているのです。
私が担当した案件では、ある女性が、夫が複数の女性を相手に浮気をしていると裁判を起こした。裁判官は『これは“火遊び”。心が通っていたわけではない』と数十万と安い金額で和解させようとした」(同前)
ということは、一度や二度の“過ち”なら痛手は少ないということか。
「一概にそうとはいえません。慰謝料の金額は婚姻の長さ、それまで円満な家庭だったか冷え切った家庭だったか、証拠があるかなどの事情に左右される。円満な家庭なら慰謝料は高くなりますし、逆なら安くなる。
また不倫した側が反省しているかも重要です。かつて女性とラブホテルに入る写真という決定的証拠を出された男性が『自分じゃない』と全面否定したら、『反省の色がない』と裁判官が事実上の限度額と言われる300万円という高額な判決を出したことがありました」(同前)
いくら“割安”になったとはいえ、依然として高いペナルティであることは間違いない。
※週刊ポスト2017年7月14日号