渡瀬恒彦さんが亡くなられた今年3月、「未公開ドラマがあった」と『判事失格!?弁護士夏目連太郎の逆転捜査』が件の「金曜プレミアム」枠で放送されたが、撮影は2年も前。要は、お蔵入りになりかけていたということだ。
やはり今年3月、名取裕子が出演した2時間ドラマ『トクチョウの女〜国税局特別調査部〜』(フジテレビ系)がオンエアされたが、「3年前に撮った作品」だと聞いた。枠は土曜日の午後帯。全国放送ではなかった。
前置きが長くなってしまったが、『1周回って〜』に出演した船越は、そんな不遇の“2時間ドラマ”をなんとか復活させてほしい…という強い思いで出演を決意してくれたように見えた。
ディレクターと事前の打ち合わせで「船越さん」「2時間ドラマ」なら、「奥さんの松居一代さんが、毎回、手作りで何百枚を刷っていた番宣ハガキの話をしたい」と申し出たのだが、「今回は、恐らく、そういう話にはならないと思うので」と、やんわり却下されてしまった。
今回の松居報道では、船越&松居が「おしどり夫婦」と言われた理由の一つとして各局、触れていたのが、この手作りハガキ。私は郵送だったが、一度、新幹線の中で一般客に配布している松居さんの姿を見たことがあった。
視聴率アップの理由はそれだけではもちろんないのだが、私の中にも「いい話」として記憶されていたエピソードだったのである。でも「今回は要らないです」とのこと。
収録がスタートして、その意味がわかったように思う。本当に驚いたのだが、船越と松居が結婚してからというもの、地上波では全く見られなくなってしまった『火曜サスペンス劇場』「小京都ミステリー」シリーズのVTRが『1周回って〜』では大量に流れたのである。
「小京都ミステリー」は、件の山村美紗さん原作で、主演の片平なぎさがフリーライター役、船越英一郎がカメラマン役で、二人がタッグを組んで「小京都」と呼ばれる各地を取材している間に難事件に遭遇。それを二人が解決していくもので、01年までに計30作がオンエアされた。
“火サス”の中でも優等生的視聴率を獲得していた同シリーズは、公私にわたって良きパートナーだった片平と船越の軽妙なやりとりが視聴者に人気だった。
01年といえば松居が船越と再婚した年だ。片平との「小京都ミステリー」終了と、どんな繋がりがあるのか私にはわからないが、以来、業界では「片平さんと船越さんは共演NG」とされていたのである。