肝臓がんの手術を受けた後は、下の娘も高校に入って、落ち着いた生活が戻ってきました。ところが、2014年9月に定期検査で肺に影が映りました。翌年の検査では影がひと回り大きくなり、3月に手術を受け、再度8月には肺の一部を切除する手術を受けました。
その後、抗がん剤の薬が変わり、副作用で脱毛があるものになりました。頭がツルツルになって。まつげも眉毛も全部抜けました。実際抜け出してきて、1日目はちょっと泣いたんですけど、ツルツルになったら、意外に笑えるなというか。下の娘も、ママ笑えるって。私もおちゃらけて、笑えるようにしていたので、娘も笑って。
全身の毛が、ほぼ一気に抜けて、ある日1本もなくなってツルツルになりましたね。体中の毛という毛がすべて抜けます。頭ばかりいわれますけど、鼻毛も抜けますし。鼻毛がないと、結構大変なんです。鼻水も一気に出るし、ほこりも奥まで入っちゃうし。実は大事なんだなって思いました。
今は、膵臓がん患者の支援団体である『パンキャンジャパン』の北海道支部の立ち上げからかかわって、膵臓がんの患者さんやご家族への支援とともにボランティアとして自分の体験をお話しさせていただいています。
そのときに、よく使う言葉があるんです。「同じ時間を過ごすなら、泣いて過ごすより、笑って楽しく過ごそう」。この言葉でお話の最後を締めさせてもらいます。がん患者さんや家族のかたには、希望を持ってほしいなと思います。
がんといってもいろいろあります。早期に発見すれば、完治するがんもあるんですね。だから、がんだからといって嘆き悲しむことはないと思うんです。
一方、私のように進行がんであると、次々と転移や手術となりますけど、共存していくしかない。がんとうまくつきあっていくしかないんです。私は、がんと闘っているつもりはなくて、「共に生きていく」という感じです。
2人の娘はもう独立して家を出ています。長女はいつも話を聞いてくれて、受け止めてくれる、私の心の支えです。次女は、私の生きる源。身近な目標はすべて、次女の節目に合わせて作っています。来年の次女の成人式は絶対に見たいです。2人の結婚式を見たいという思いもありますが、まずは、成人式ですね。
※女性セブン2017年7月27日号