「やめて良かったと思っています。私が引退したのは分裂騒動のゴタゴタに嫌気が差して“ちょうど良いタイミングだ”と思ったのが一つ。もう一つはより本質的な理由です。私は暴力性こそがヤクザの本質と考えていますが、その暴力を躊躇なく行使できる精神も力も持てなくなっていた。ヤクザとしての自身の限界を感じたのです」
猫組長は投資顧問会社から暴力団の世界に飛び込んだ「“カタギ出”のインテリ経済ヤクザ」(山口組関係者)とされる。
現役時代のシノギは新株引受やインサイダー取引など、金融を舞台としたもので、1日で数十億~数百億円を動かす日も珍しくなかったという。
当時は家賃200万円の超高級マンションに住み、月の飲み代は3000万円を超えていたというから、濡れ手で粟だったことが想像できる。
「私はヤクザとしては二流だったかもしれないが、ビジネスマンとしては超一流だったと思う。その時の蓄えがあるから、今、悠々自適の暮らしができる。
暴力団排除条例には“5年ルール”があり、カタギになっても5年間は現役同様に家を借りられないし、新しく銀行口座も開けない。しかし、実際は銀行や証券会社は、元ヤクザでも信用があれば融通を利かせてくれます。私も証券会社に口座を持ち株投資をやっていますが、上場企業に行けば、いまだに“ヤクザが来た!”と嫌がりながら、社長が対応してくれますよ(笑い)」(猫組長)