都の液状化予測図によると、足立区、葛飾区、江戸川区などの荒川流域の低地や大田区の多摩川流域の低地で液状化の可能性が高いとされている。それを防ぐためには、やはりブロック単位でPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ=公民連携)によって外部経済を取り込みながら街を造り直していくしかない。
また、下町で消防車が入れないような地区をどのように安全な街に変えていくべきか、やはりビジョンとエコノミクスが必要になる。
さらには“東京のシンボル”を造ることも重要だと思う。世界の大都市には、必ずシンボルがある。パリの凱旋門、エッフェル塔、ベルサイユ宮殿、ロンドンのビッグベン、タワーブリッジ、バッキンガム宮殿、ニューヨークの自由の女神やエンパイアステートビル、シドニーのオペラハウスやダーリンハーバーなどである。
ところが東京には、それらに匹敵するシンボルがない。東京スカイツリーは、どこの国にあってもおかしくないので、シンボルにはなり得ない。現に、いま外国人に最も知られている東京の名所は、浅草の雷門である。
小池知事は築地市場跡地を東京オリンピック・パラリンピック後に「食のテーマパーク」として再開発する方針を示しているが、築地市場跡地活用法をそれだけで考えているなら、思いつきの“瞬間芸”であり、「ビジョン」とは言えない。
私は、築地市場跡地に勝どき、晴海を合わせた東京都が保有している都心最後のフロンティアを三位一体で再開発し、世界中からヒト、企業、モノ、カネ、情報が集まる職住接近の24時間タウンをPPPの手法で建設すべきだと、20年近く前から提案している(『感動経営学』小学館)。東京都は開発必要条件だけを規定し、開発者を世界中から募集するのだ。このプランを小池知事が実行すれば、世界中の人々が注目する東京の新たなシンボルが誕生し、彼女の功績として歴史に残るはずだ。