「守備に関しては、ですね。的確なリードだけでなく、投手陣に絶妙なタイミングで声をかけている。そのあたりが上手いと思うんです。打撃は坂本勇人(巨人)さんです」
確かに、打撃フォームは坂本に似ている。監督の中井はこう評価する。
「バットを構えた時のトップの位置がバッチリ決まっているし、バットが最短距離で、身体の近くから出て行く。空振りもしますが、その次に同じ球が来ると仕留めることができますね」
◆相手が得意な球を狙う
プロを見ても、打って守れる捕手は希少だ。少なくとも、この時点でこれほどの水準の捕手というのは城島健司(元阪神)、古田敦也(元ヤクルト)とも異質だ。
「どうしてもキャッチャーって、守備の人っていうイメージがあるじゃないですか。僕はそれが嫌。攻撃的な捕手になりたい。自分はホームランバッターだとは思っていません。チャンスに強く、打点を稼げるバッターになりたい」
大会期間中、中村がことある毎に口にしていたのが、「相手の一番のボールを打ち返したい」だった。
「相手投手の得意なボールを打ち返せたら、心理的にダメージになりますから」