また、「骨太の方針2017」に消費増税が明記されなかったため、東京海上ホールディングスの隅修三会長は「(消費税率は)10%以上を言わないといけないが、言えていない。政治がシルバー(高齢者)デモクラシーから脱却できていない」と批判したという。経済同友会は、経営者が個人の資格で参加する分、経団連よりも自由にものが言えるようだ。
しかし、安倍首相の経済政策「アベノミクス」は誤った経済理論に基づく的外れなものだと2012年末のスタート当初から現在まで、いわば“最長不倒”で批判し続けている私に言わせれば、「そういう批判は軽井沢の夏季セミナーでやるのではなく、大手町でやれ」「首相官邸の会議で面と向かってやれ」と言いたい。しかも、夏季セミナーを開いたのは東京都議選で自民党が惨敗した後であり、“安倍一強”に陰りが見えた時期に、俄かに批判するのは「犬の遠吠え」でしかないと思う。
私は経済同友会の小林代表幹事と面識があり、非常にクレバーで勉強熱心な経営者だと知っている。しかし、今ごろになって安倍政権にワイワイガヤガヤと文句を言っているようではダメだ。急成長を続けるアメリカのICTトップ5社やアリババ、テンセント、深センのICTベンチャー企業群などを見て、もっと日本企業と日本経済の現状に危機感を持たねばならない。
前述したように、アベノミクスはセオリーそのものが間違っているお粗末な経済政策であることはスタートした時からわかっていたわけだが、経済同友会は政権におもねり、批判の矛先も鈍かった。
しかし、世界的なスコープで今の日本が置かれているポジションを見れば、企業も地域も復活・反転している例はほとんどない。中央集権が強すぎて、花咲く場所がないのである。アベノミクスはその権化なのだから、経済同友会はもっと早くその間違いを指摘して財界としての正論を提言すべきだった。