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脳を活性化する料理療法 役割持ち協力しあい一体感生まれる

料理療法は要介護1~5が対象

 認知症があり、ひとり暮らしに不安が多くなった83才の母を自宅近くのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に移してひと安心の本誌・N記者(53才・女性)。でも、母は安全と引き換えに失うものもあった。その1つが、得意だった“料理をする習慣”だ。N記者が新たに体験したデイサービスの料理療法をリポートする。

 * * *
 母の住まいの近くに新しいデイサービス(通所介護サービス)開設の知らせが。五感を刺激し、脳を活性化する“料理療法”を実践するという。

 東京・世田谷区の『なないろクッキングスタジオ成城』(9月1日開店予定)の体験会に、母と参加した。

◆忘れていなかった往年の包丁さばき!

『なないろクッキングスタジオ』は白い室内にビビッドカラーの調理器具やインテリア。流行りの北欧家具ショップのような華やかな雰囲気だ。

「あら~明るいわね! こういう台所、楽しいじゃない」

 母の表情が華やいだ。日常と異空間のこの雰囲気が83才にどう映るのか心配だったが、気分上々のよう。そういえば昔よく母とインテリアショップを見て歩いた。ステキな生活をイメージするだけで女性の気分は上がるのだ。

 この日のお題は「巻き寿し贅沢盛り!」。きゅうりの巻きずしの上に数種類の海鮮を工夫して盛り付ける。

 母には3年ぶりの包丁。うまくできなければ一気に興ざめだ。ところが驚くことに昨日までやっていたような手際。

「お刺身は薄く切ったほうが、しょうゆがなじんでおいしいわね」と言いながら、海老とほたての貝柱をそぎ切りにした。

 また意外に難しいのり巻きも、巻き簀を器用に使って巻き、包丁をぬらしながらスパッと切り、美しい断面を見せた。私は驚くことしきりだったが、

「危ないからと、何年も調理から遠ざけられても、主婦だったかたはすぐに勘が戻ります。自転車の運転と同じかもしれませんね」(なないろクッキングスタジオ成城 本田充さん)

 ねぎやいくらなども盛り付けて完成。作業時間は小1時間。これで達成感とほどよい疲れが。久しぶりに母の手料理を食べた。彩りもよくおいしかった。母も満足そうで、何より目がイキイキとしている。

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