そして、この分野では日本企業が世界をリードしている。

 たとえば、NECの顔認証システム「ネオフェイス(NeoFace)」は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)による初の動画顔認証の性能評価コンテストで、静止画に続いて4回連続で最高評価を獲得した。同社によれば、このコンテストには世界の有力企業16社が参加し、2位以下を大きく引き離す精度の高さが認められたという。

「ネオフェイス」は、PCアクセス認証やビル・施設への入退場管理などの企業ユース、顔パス入場などのエンターテインメント分野、さらには出入国管理や国民IDシステムなど国家レベルのセキュリティ管理といった幅広い用途で日本をはじめ世界40か国以上で導入されており、なかでもアメリカでは州警察の3分の1ほどに採用されている。NECは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、これからますますセキュリティ関連ニーズが高まるとみて、顔認証技術の開発にいっそう力を入れる方針だ。

 さらに今は、事件や事故を予測・予防する技術の開発が急速に進んでいる。具体的には、イベント会場や駅のホームといった大勢の人が集まる場所で、不審な動きをする人間をマークしたり、鉄道自殺を予防したりする技術だ。

 実際、防犯テクノロジーの専門会社アースアイズは、ベンチでうなだれて列車を何本も見送るような自殺の前兆をAI搭載カメラが検知して駅員に自動通報するシステムを開発したと報じられている。

 このセキュリティ分野は、非常にレンジが広い。たとえば、1人暮らしの若い女性が夜遅く帰る時、不審者やストーカーが自宅の周りをうろついていないかどうか、待ち伏せしていないかどうかといったことを、帰宅前にスマホから画像検索でチェックすることができれば、犯罪被害を未然に防ぐことができる。

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