芸能

自分自身が面白がりながら噺を進化させる春風亭一之輔の魅力

今、最も落語会のチケットが取りづらい春風亭一之輔の魅力は

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の連載「落語の目利き」より、今、最も落語会のチケットが取りづらい春風亭一之輔を紹介する。

 * * *
 今年4月、NHK総合テレビの『プロフェッショナル 仕事の流儀』が春風亭一之輔を「落語ブームを牽引する男」として紹介した。ブーム云々はさておき、一之輔が今、最も「旬」な落語家であることは間違いない。

 最近の一之輔の集客力の急上昇ぶりには目を見張るものがある。彼は2013年から毎年「ドッサりまわるぜ」という全国ツアーを行なっていて、東京公演は有楽町のよみうりホール。客席数1100の大会場だけに、以前は柳家喬太郎、柳家小三治、笑福亭鶴瓶ら強力な助っ人を迎えて観客動員を図ったが、今年(7月8日)はゲストなしで即完売となった。演じたのは『千早ふる』『お見立て』『居残り佐平次』の3席。

 一之輔の『千早ふる』はアドリブのギャグに自分自身が面白がりながら成長させた素敵な作品だ。「ディスクに溜まった朝ドラ録画を消去してて忙しいから」と八五郎を帰そうとするご隠居の豪快なキャラは空前絶後、「歌を詠んだのはカリフラワーのカリフラワー」に始まり「江戸中末期の相撲取り竜田川の口が臭かったと当時の『月刊相撲』に載ってる」などと言い出す暴走っぷりは一之輔の独壇場だ。

「この噺、柳家の人はもっとちゃんとやるよ」とツッコミを入れられたご隠居がキレて「『千早ふる』なんてご隠居がその場の思いつきで適当に言ってるだけなんだよ!」と言い返したのには爆笑した。本来のサゲを素通りして到達するオリジナルのサゲも「こう来たか!」と意表を突く。

 お大尽の田舎者っぷりと喜瀬川花魁の傍若無人ぶりが際立つ『お見立て』は、人物造形のデフォルメが秀逸な一席。もはや「一之輔十八番」と言っていいだろう。2人に振り回されてヤケクソになっていく喜助が抜群に可笑しい。墓はカムチャッカだとでも言っておけばよかったと責める花魁に「言ったとしても行きますよあの人は!」と反論する喜助の気持ちがよくわかる。

関連記事

トピックス

田中容疑者の“薬物性接待”に参加したと証言する元キャバクラ嬢でOLの女性Aさん
《27歳OLが告白》「ラリってるジジイの相手」「女性を切らすと大変なんだ…」レーサム創業者“薬漬け性接待”の参加者が明かした「高額報酬」と「異臭漂うホテル内」
週刊ポスト
明るいご学友に囲まれているという悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さまのご学友が心配する授業中の“下ネタ披露” 「俺、ヒサと一緒に授業受けてる時、普通に言っちゃってさぁ」と盛り上がり
週刊ポスト
「大宮おじ」「先生」こと飯田光仁容疑者(32)の素顔とは──(本人SNS)
〈今日は〇〇にゃんとキスしようかな〉32歳無職が逮捕 “大宮界隈”で少女への性的暴行疑い「大宮おじ」こと飯田光仁容疑者の“危険すぎる素顔”
NEWSポストセブン
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
インド出身のYouTuberジョティ・マルホトラがスパイ容疑で逮捕された(Facebookより)
スパイ容疑で逮捕の“インド人女スパイYouTuber”の正体「2年前にパキスタン諜報員と接触」「(犯行を)後悔はしていない」《緊張続くインド・パキスタン紛争》
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
夏の甲子園出場に向けて危機感を表明した大阪桐蔭・西谷浩一監督(産経ビジュアル)
大阪桐蔭「12年ぶりコールド負け」は“一強時代の終焉”か 西谷浩一監督が明かした「まだまだ力が足りない」という危機感 飛ばないバットへの対応の遅れ、スカウティングの不調も
NEWSポストセブン
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン