だが、コンサートなど長時間に及ぶものについては事前にキー局がピックアップした箇所をただそのまま受け入れるケースが多い。初めから終わりまで3時間超えの素材を配信してもらうには、膨大な時間とお金がかかってしまうからだ。
メ~テレの場合、自社制作のオムニバスドラマや、映画化もされた連続ドラマの枠もあり、なかでも松井玲奈主演の『名古屋行き最終列車』は、『東京ドラマアワード2013』で「ローカル・ドラマ賞」を受賞したこともある人気ソフト。そんな“ドラマ班”は東京の芸能プロダクションとそれなりに太いパイプをもっているし、所属俳優を「出したい」とプッシュしてくるプロダクションもあるだろう。
さらに自社制作のバラエティー番組に出ているお笑い芸人やタレントの事務所や、東海地方の平日朝6時~8時という時間帯に唯一、名古屋で制作をしている『ドデスカ!』のコメンテーターが所属する事務所とも“付き合い”もあるにはあるが、“現場レベル”だ。
が、そうしたディレクターたちとジャニーズ事務所との直接の付き合いは、まずないといっていい。たとえば東海地方でのコンサートや出演映画の試写イベントなどがあったときも、メ~テレとの間に入るのは、レコード会社やPR会社、映画会社となる。
そうした機会に街歩きのロケや、ちょっとした別企画を申し込もうとしても、間に入った人たちが「たぶん難しい」「このタイミングでは聞きづらい」などと渋い顔をして動いてくれない場面を何度も見てきた。それを言われた通りに現場に伝えてくる“担当”もいる。
「では私(筆者)が直接…」と申し出ると、やんわり拒否される。何に、誰に気を遣っているのかわからないが、地方ローカル局にとってジャニーズ事務所とはそれほど遠い存在なのか? それとも、いわゆる“忖度”なのだろうか?
こうした環境で、なぜ、『デルサタ』スピンオフ特番という快挙が実現したのか。番組の体裁としては、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の“岡村オファーシリーズ”の「SMAP」や「オカザイル」を想像していただけばいいだろう。やはり“快挙”であり“奇跡”だ。
そこには、『デルサタ』総合演出の石川智通氏の行動力と、スタッフを含む番組全体やタレントへの愛情の深さがあったからだと局内外で大評判だ。