ライフ

西郷隆盛がなぜ今も「さん」づけなのかが分かる書籍

その言葉は日本人の精神を示してくれている 近現代PL/AFLO

 2017年は、西郷隆盛が西南戦争を起こしてから140年にあたる年。いまも広く愛される“西郷さん”は一冊の著書も遺していないが、その言葉は『南洲翁遺訓』で読むことができる。皇學館大学文学部教授の松浦光修氏が、“唯一の著書”である『南洲翁遺訓』について解説する。

 * * *
「あの時、西郷先生は『戦いは勝てば、それでもう終り。あとは同じ日本人、新しい日本をつくる同志ではないか』と仰った」。

 明治22年、明治天皇から「正三位」を与えられ西郷さんは「逆賊」の汚名を晴らしました。そこで荘内藩(現在の山形県・庄内地方)の人々は、西郷さんに直接会った人々に呼びかけて、それぞれの人が聞いた珠玉のような西郷さんの言葉を記録し、編纂・発行するという事業を開始します。

 こうして翌明治23年に完成したのが、『南洲翁遺訓』です。荘内藩の人々は、その本を風呂敷に背負い、全国に配布してまわるという、涙ぐましい努力をつづけました。まさに「昨日の敵は、今日の友」です。そのような武士道の精神が、わが国には、今も一部に生きています。

「鳥羽伏見の戦い」が起こり「戊辰戦争」へとつながっていき、明治元年9月、荘内藩は攻め寄せてきた新政府軍と戦って敗れました。荘内藩と薩摩藩は一年前に起きた江戸・薩摩藩邸焼き討ち事件で、薩摩藩士40人が討ち死にしたという因縁がありました。事情が事情ですから、荘内藩は、どれほど厳しい降伏条件をつきつけられるか心配でなりませんでしたが、それは意外なほど緩やかで、軍門に下った藩主も丁重に待遇されました。

関連記事

トピックス

当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン