「番組の内容を正確に伝え、出演者を引き立てる」アナウンス技術に関しては、あらためて説明する必要はないでしょう。後輩アナウンサーの指導役を務めるほどの技術が番組に安定感をもたらしています。
それ以上に大きいのは、「視聴者がベテラン女性アナウンサーを求めている」こと。2014年にスポーツ界で起きたレジェンドブーム以降、テレビ視聴者の間にも「ベテラン女性アナウンサーを見直そう」という傾向が見られるようになりました。なかでも大きかったのは、昨年からのSMAP解散騒動。大下アナと西山アナがSMAPに関わる仕事やコメントで支持を集めたことを覚えている人は多いのではないでしょうか。
また、今年3月には小野アナが『ガッテン!』(NHK)の放送内容に誤りがあったとして迅速に謝罪して事を収め、「やはりベテランは違う」と評価されました。通常の安定感に加え、ピンチに強いことも彼女たちの強みと言えるでしょう。私が聞いたところによると、各局に「ベテランをもっと使ってほしい」という声が届いているそうです。
昨年末の『好きな女性アナウンサーランキング』(オリコン)では、1位から順に水卜麻美アナ(30歳)、加藤綾子アナ(32歳)、夏目三久アナ(33歳)、有働由美子アナ(48歳)、大江麻理子アナ(38歳)、赤江珠緒アナ(42歳)、田中みな実アナ(30歳)、竹内由恵アナ(31歳)、大下容子アナ(47歳)、桑子真帆アナ(30歳)と、全員が30歳以上でした。
毎年、各大学のミスコン受賞者や元タレントなどの美人が入社しているにも関わらず、もう何年も若手のスター女子アナが誕生していないのです。これは「若手アナウンサーたちに問題があるというよりも、ベテランアナウンサーのほうが求められている」からではないでしょうか。
◆視聴者の高齢化と「昭和」企画の増加