「便カルプロテクチン検査は陰性的中率が高いので、陰性であれば腸の粘膜に炎症がないと判断でき、内視鏡検査を控えたり、検査期間を空けても問題ないと考えられています。陽性の場合は内視鏡検査を実施して炎症の状態を確認し、早めに薬の変更や新しい薬を開始するなどの治療方針を決める必要があります。個人的には、この検査は寛解になってから、あまり時間が経過しておらず、頻繁に内視鏡検査を希望しない患者さんに対しての補助的検査として、特に有用性が高いと思います」(長堀医師)
この検査は大腸の炎症の有無を診るもので、大腸がんや前がん病変発見を目的としていない。そうであっても、患者の中には発症から時間が経っている、腸内の炎症範囲が広い、家族に大腸がん患者がいるなど大腸がんの発症リスクが高い人もいる。これら高リスクの人は定期的に内視鏡検査を行なうようにして、前がん病変を見つける努力をし、早めの手術など適切な治療が欠かせない。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年11月3日号