もともと日本人は、抜きつ抜かれつで、汗と涙のドラマティックな展開が多い駅伝やマラソンが大好き。テレビ業界では、学生駅伝や国際マラソンなどの人気大会に加え、『24時間テレビ』(日本テレビ系)や『オールスター感謝祭』(TBS系)などでもマラソン企画を必ず放送するなど、長年に渡ってキラーコンテンツとなり続けてきました。そんな「走る」映像に、登場人物の過去や現在、周囲の人々などの背景が加わるドラマへの関心が高いのは当然なのかもしれません。

『陸王』は、『ニューイヤー駅伝2017』の様子を劇中で使用するために、1月1日という異例の早い時期に撮影開始。駅伝好きの視聴者たちにしっかりアピールしていました。こんなところにも、スタッフやキャストの今作に懸ける熱い思いが感じられます。

「走る」がモチーフの作品は、ポジティブな結末が多いのも特徴の1つ。実際、『陸王』も、「茂木や宮沢にとって最高のハッピーエンドになるのでは」と予想されています。苦難にめげず何度も立ち上がり、最後まで走り切ったとき、彼らはどんな顔をしているのでしょうか。もしかしたら彼ら以上に視聴者のほうが、清々しい表情になれるのかもしれません。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』な

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