しかし、それほど簡単にAIに“職場”を奪われるものなのか。40代メガバンク行員は疑問を呈す。
「融資などのマニュアル化が進んでいるのは事実ですが、すべて機械的に審査するだけでは正しく判断できないことも多い。相場は心理によって動くこともあるので、顧客の心に寄り添って読み取ることはこれからも必要であり続けるはずです」
だが、世界の金融をリードする米国では、こんな事態が起きている。
今年1月、米ゴールドマン・サックスCFO(最高財務責任者)・マーティン・チャベス氏が、「2000年に600人いた株式トレーダーは、2人だけになった」と公表した。代わってトレーディングを行なっているのは、自動株式売買プログラムだと明かしたのである。
年間数億円もの報酬を稼ぐ敏腕トレーダーが行なっていた“天才的な判断”より、AIの“機械的な分析”のほうが優れているという明快な理由だった。
※週刊ポスト2017年11月17日号