法廷では「損をすると預けたカネがパーになる投資。損を取り返そうと思い、また投資。どんどん泥沼にはまった」という千佐子の供述調書が公開された。
それに対して彼女は「それでこうなった。人生の間違いの始まり」と証言し、「うまいこといってトントン。あかんこといって全部なくなるのを覚悟して投資してますよ。そのときにスッテンテンになりました。もう全部吐き出したから」と語っている。
拘置所で千佐子と面会した知人が言う。
「(印刷会社経営時代の)貝塚でおカネに困っていた。(投資をしたのは)それを取り返したかったから……」
一度歯車が狂い始めると止まらない。投資の失敗を穴埋めするために彼女が選択した最終手段が、結婚・交際相手からの遺産相続だったのだろう。
(文中一部敬称略)
●おの・いっこう/1966年福岡県北九州市生まれ。「戦場から風俗まで」をテーマに北九州監禁殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。著作に『震災風俗嬢』(太田出版)、『新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』(文春文庫)などがある。
※週刊ポスト2017年11月24日号